実践!一人暮らし-あたる生活 >入居後編>近隣挨拶ってするの?>レオン

根無し草



さて、近隣挨拶といえば映画「レオン」でたとえるなら、主人公のレオンはまずやらないタイプでしょう。
彼は殺し屋でありますから、はなから近所との円滑なコミュニケーションなど望んでいないに決まっています。

観たことありますか? レオン。

実は早乙女、この映画を小脇に抱えたいくつかのビデオテープと一緒に何気なくレンタルしたのが22歳の時。その時エンディングで胃がせり上がって気持ちわるくなるほど咽び泣きいたしまして、現在でもその感動はぶっちぎりのトップのまま。毎年1〜2度は無性に観たくなる時期がやってくるので、借りたその日は台所でいそいそとグラスと氷なんかを用意して、とっておきのバーボン片手にテレビの前に正座をするのであります。
結婚してからは妻が横で通信販売の雑誌をめくったりケータイの着信音でじゃまをするので電気を消し、他の部屋に追いやってから再生ボタンを押すことにしています。これは、大切な時間に水を差されたくないからでありまして、決して「女子供の観る映画じゃねえ」ということではありません。


早乙女は評論家ではないですから、制作費がどうとか、どこがどうだ、駄作だ秀作だということには関心がありません。ただ、己の心ががつんと震えたのは事実でして、それを感動という言葉以外でどう表現したらいいのかがよくわかりません。レオンの無骨な生き様とピュアな愛。やはりこんなふうに言うとたちまち安っぽくなってしまう。


彼、レオンと似た雰囲気を持っているのが次元大介。あのルパン三世の相棒であり、愛用の44口径をぶっ放せば百発百中の凄腕ガンマンであります。レオンよりは少し洒落の効くタフガイではありそうですが、彼もどちらかというと自分から積極的に近隣挨拶をするタイプの男ではない気がします。というか、根本的に銃煙の臭いがする人間は近隣挨拶などしてはいけない。自衛隊の健康的なそれとは違う皮膚の下から漂う血と銃の危険な臭い。ピンポーンと目が合ってさっそくニヒルに笑おうものならたちまちドアを閉められ110番されるのがオチであります。

彼らがどうしても近隣挨拶をしたいのであれば、まずドアスコープにガムを張り付けて中から覗けないようにし、呼び鈴を鳴らす。うまい具合に「何の用ですか?」とドア越しに尋ねられたら次に「通路の灯りが消えているみたいなんです。助けて、ここは何号室?」とできるだけ怯えた声で答える。すると中の住人は心配して少しだけドアを開けて様子を窺おうとするかもしれない。ここですばやく隙間にニッパーを差し込みドアチェーンを切断する。後はびっくりして住人はたじろぐから、その隙に力いっぱいドアを開け放ってしまう。これでちゃんと最後まで挨拶ができる。この方法、レオンなら上手にやりそうですが、次元もそうやって近所を回ってみるといいかもしれません。


レオンというとその映画の魅力のひとつに歌がありまして、つまり映画の主題歌のことなんですが、この曲の感じがラストシーンととにかく合う。早乙女も半分はこの歌で泣かされたといってもいい。歌詞は英語ですし、ポツリポツリと呟くように歌っているので意味はわからないのですが、焼肉と焼肉のタレくらいよく合うのであります。この映画のためだけに歌い上げているような、せつなくて、身を切られるような曲でありました。

熱心な洋画ファンではないですし好いた惚れたの映画はあまり観ないほうなのですが、レオンに心惹かれたわけはどこか日本的なモノを感じたからに違いないと思います。でもそれはなんなのか未だにはっきりしませんし、はっきりさせないほうが多分いい。自分にとって良い映画とはなんなのか。それを考えてしまったらこれからきっと真っ直ぐに映画を観れなくなってしまう気がするんです。



                                 前へ← メニュー 次へ




実践!一人暮らし-あたる生活



上に戻る