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>お部屋編>条件が決まらない>父こころ1話 時間は止まらない |
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急いで契約したものの、あとで冷静になると物件の短所ばかりに目がいってしまいどうにも気分がすぐれない…。 先日入居されたお客さんもやはり焦っていました。 現在大学一年生の和弥君は今月一杯で寮を出、一人暮らしを始めるとのことでひとりで店にやってきました。 なんでも大学の寮に住めるのは一年間のみという規則になっていて、来月二年生になるまえに新しい住まいを見つけなくてはならない事情があるらしいのです。 それもそのはず、来月はもう8日後にまで迫っていました。 いままでどうして探さなかったの? と早乙女が尋ねると「部屋探しなんて初めてだしすぐに入れるものだと思っていたから…」でも、周りの友だちは着々と準備を進めていて気がついたら自分だけ未だ寮に取り残されてしまった。それに部屋の契約には入居審査というものををパスしなくてはならないと聞いてすっかり慌てている・・・そのようなことを蚊も消え入りそうな声でたどたどしく話してくれました。 「なので審査に落とされないものを紹介してほしいです」 大学生などの学生の場合、保証してくれるその親御さんに定期収入があって、不動産屋が見る本人の素行が著しく目に余るものでなければ大家さんの審査はわりと簡単にパスします。聞くところによると和弥君のお父さんは中学校の教師をして働いているとのことでしたので、その辺は問題なさそうでした。 早乙女はかれに賃料や間取りなどの希望を訊き、3件の資料をピックアップして机の上に置きました。 じゃあ、時間もないからさっそく今から全部見に行こうか、と早乙女がいうと「はい、でもおれ、もう決めました」と、そのうちの一件を和弥君が指しました。「面倒だからこれだけ見れればいいです」 和弥君はいまこうしている時間ももったいないといった感じで、そわそわともどかしそうに上半身を揺らしました。 前へ← メニュー →続き |