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>空き巣編>実録。空き巣被害報告1話

まさか! やられた日



一言で「防犯」といっても実際に自分がその被害に遭うまではなかなか意識が芽生えないものだと思います。「まさかうちには来ないよ」とか「盗まれるものなんかないし」なんて「だいじょぶだろう」とたかをくくっていると、いざ被害にあったときに大きなショックを受けるかもしれません。

ここで空き巣にたいしてまったく無防備だった早乙女の体験を通じて、皆さんに防犯意識を持つきっかけを作ってもらえたら気分も報われそうです。



事件はよりによって早乙女の誕生日に起きました。

仕事を終え、19時頃自宅のある5階建ての賃貸マンションに帰りました。
早乙女の部屋は4階にあります。この建物はエレベーターがついていないので、いつものように階段で4階まで上がります。部屋の前に行くまでは特別異変もありませんでしたし、おかしな予感もありませんでした。


初めて「あれ?」といつもと違う変化に気づいたのは、カギを取り出して、出入り口のドアに触れたときです。
ふかっとした感触とともにドアが少しだけ動いたのです。

ちゃんと施錠されているはずのドアならばノブを引っ張ったところでびくともしません。つまりこの日のドアは何者かによって開けられきちんと閉められていないままの状態だったのです。


それでも「まさかな・・・」という気持ちで「たぶん自分で朝閉め忘れたんだ」というふうに無理やり考えながら中に入ったのですが、その希望は一瞬で粉々に吹き飛んでいきました。

電気をつけると部屋の中は足の踏み場がないくらい荒らされていました。
ハンガーにかけてあった衣類は軒並み床に落ちていましたし、引き出しとか戸棚、冷蔵庫までありとあらゆる入れ物が開けられ、中身をひっくり返されていたのです。


この惨状を確認してまず早乙女が心配したのが飼い猫のことでした。
いつもならドアを開けると早乙女の足もとに身を寄せてじゃれてくるのですが、この日はまだその姿を見ていなかったのです。

「ポン、ポン」と猫の名前を呼んでも反応がありません。半ば焦りながら探していたら早乙女より背丈のある本棚の上にポンの背中を見つけました。
ポンは身を固くして怯えていました。無事で何よりでしたが、彼には今日遭遇した他人が邪悪な者であるということがわかっているみたいでした。


警察に連絡したのはその後です。
でも警察よりも、当時まだ結婚していない妻のほうが先にやってきました。


誕生日を一緒に祝うためスーパーの袋を両手に持ってやってきた彼女はまだ何も知りません。「どうしたの、ずいぶん散らかしたねえ」と呆れています。
ちょっともったいつけながら早乙女が事情を説明すると、彼女は力なく床に座り込んでしまいました。



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