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>空き巣編>実録。空き巣被害報告2話

現場検証



通報したものの、警察はずいぶんのんびりやってきました。競争したらおそらくピザ屋のバイクのほうが早かったはずです。

背の低い年配の警察官と、若くて細身の警察官が早乙女の部屋で現場検証を始めたのですが、あぐらをかくなどいまいち緊迫感がなく、まるでそこら辺のおじさんとあんちゃんを部屋に招き入れているような妙にだらけた空気が早乙女をますます落胆させました。


たしかに空き巣被害など警察にとっては日常茶飯事でしょう。特別なことではないし、どちらかというと自販機で缶ジュースを買うような見慣れた光景に過ぎないかもしれません。

でも、早乙女と彼女にとっては初めての体験なわけですし、緊急配備とかさすがにそういうことまでして欲しいとはいいませんが、もう少し、最低限の警察官らしい威厳みたいなものが見たかったです。


「被害は?」と年配の警察官にたずねられたので、今のところ引き出しの現金5万円がなくなっているのは確認したと答えました。それを若いほうの警察官が書きとめています。
「侵入口は?」と続けて訊かれ、玄関のドアが開いていたと教えると二人の警察官はそこに向かいました。

二人でなにやら鍵穴を覗きながらぼそぼそと話し、かと思えば突然ゲラゲラと若いほうが笑い出したり、早乙女が様子を見に近づくと、「すいません、懐中電灯貸してください。暗くて見えないもんで」なんて思わず耳を疑うようなセリフを年配のほうが言うものですから、脱力で、思わず早乙女まで床にへたりこみそうになりました。


あとは住所だの連絡先だのを一通り訊かれ、早乙女と腰を抜かしている彼女の手を取って指紋を丁寧に採取すると、満足げにかれらは帰りました。

帰り際に「犯人は捕まりますか?」と一応尋ねてみましたが、かれらは「いやー、こういうのはいっぱいあるしねー、この近所でも頻発してるしさ」などと言葉を濁すだけで、なんとなく安心できる答えを期待していた自分の気休めにもならないということが分かりました。


相変わらず部屋の中は帰ってきたときのまま荒れていますし、時間だけはどんどん宵を刻んでいます。もし、なにもなければ今頃食事を済ませてくつろいでいるところでしょう。
そう思うと今のこの状態がとても残念なのでした。大切な日を汚され、やり場のない憤りで自分が空腹であることすら腹ただしく、情けなく、彼女に申し訳なくて泣けてきそうでした。

「先に夕食作るからね」といって立ち上がり、、健気に台所で仕度を始める彼女の流す水の音が、荒みかけた心の奥に潤う微かな慰めみたいなものでした。



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